ウオッカの背中・クローズ

以前書いた書評を思い出しながら、
優駿5月号の記事を読んでいました。

ドバイ前哨戦から引退後までのウオッカと関係者の経緯が
オーナー(谷水さん)と調教厩務員(中田さん)への取材を中心に
綴られています。


いつどのように二人に取材したか、という重要な点が
明記されていないようで、そこは少し残念なのですが、
ウオッカに思い入れてきたファンにとっては
なんか、あぁ引退したんだなぁ、と
改めて実感させられるような記事でした。

おそらく、心の準備と異なる幕引きだったという状況が
実感を伴わせづらくしているのでしょう。

最終戦は結果的に日本ではなくドバイですし、
引退式もしませんでしたしね。


記事は、関係者の「その時」をたどることで
その実感を手元に引き寄せることに成功していると思います。

特に取材対象である、谷水さんと中田さんは
筆者と同じく日本で前哨戦の敗戦を観ていた共通点を持っています。
そこからウオッカはどのように見えていたのか。

立場から来る視点のギャップを淡々とあぶり出す文章を追うことで、
なんといいますか、心地よい程度の寂しさ(惜しむ気持ち、かな)を
引き出してもらいました。

その着眼点はさすが、ウオッカ愛のなせる業、なのでしょうね。
そう読み解いている自分も、
ひとのこと言ってる場合じゃないんでしょうねー。



個人的に書籍「ウオッカの背中」に足りないと感じていたピースが
この取材記事で埋まったように感じています。
やはり自分は、一競走馬についての書籍には、
どのような引き際だったかという描写が重要と感じているようです。

まぁ、現役真っ只中の出版に話題性が高いというのはわかるんですけどね。
そうした発信は、オンタイム性の高いネットで展開したほうが
効果的な時代だと思っています。



ウオッカという対象を離れたとき、
筆者は次にどんなウマをどのように描写するでしょう。

今回の記事も、取材対象者のウオッカ愛が
内容を厚く強くしてくれているところもあり
筆者のこれからの書き物には期待しているところです(皮肉ではないですよ)。
きっと、いろいろ変化するだろうな、といういい意味での期待です。

そのとき取材対象者を、今回と同様に谷水「オーナー」ではなく、
谷水「さん」と呼んでいるだろうか。とかね。



ウオッカの背中、ようやくクローズ。
この記事、というよりウオッカの引退を中心にした文章が
書籍の最終章に加わっていたならと思うのですが
文庫化はまだでしたっけ?
その際は、是非。

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