懸念の通り、差し届かずのウオッカ。
ただその内容は、なかなか深い(もとい、深読みの可能な)ものでした。
直線入口。武豊は外に進路をとりつつ
レインダンス、ベッラレイアと前の壁を変えつつ脚をためていました。
坂の入口でそのさらに外に出し、前の壁がなくなってもなお
残り300mまで追い出しは我慢されていました。
その我慢した登坂ラップ(残り400m-200m)が11.0。これはレース全体のラップですから
ウオッカ自身はそれを上回る加速で前に迫ったことになります。
直線で問われたスピード能力は3ハロン(600m)の持続力ではなく、
1ハロン(200m)以下のスプリンター的な加速力だったでしょう。
今日のレースは、ダービー馬ウオッカよりもスプリント能力に優れた2頭が
1、3着したのだと思われます。
そのなかで武豊が追い出しを我慢したのは何故か?
近走、ウオッカはゴール前で他馬と同じ脚色になることが多い印象があります。
ドバイにいたっては、ラスト100mは失速気味でした。
そうしたレース運びになれてしまうのは
ゴール前で力を抜くという、競走馬としては誤ったメッセージを
ウマに伝えてしまうことになりかねない、としたら。
…戦前の予想通り、スローペースのまま流れた前半。
1000m通過が60秒ジャストは、マイルG1としては遅すぎでしょう。
ジョッキーは、この展開の中、折り合いの難しいウオッカを馬群で我慢させた上、
さらに追い出しを我慢し、決して最善でないスプリント能力を引き出しつつ
スピードを乗せきった状態で勝ち切るという
難しい課題にあえてチャレンジしていたように見えました。
ゴール前の加速のイメージや、折り合い面など、次走以降のウオッカへの影響を見据えた時、
これは立ち向かうべき課題だったのではと推測します。
勝ったエイジアンウインズとの差は、レース中に課さねばならない
課題の差なのでしょう。
その意味で負けは負け、なのです。
逆を言えば、レース中にそれだけの課題をクリアしてなお、
勝負に加わる武豊というジョッキーの、能力と執念を見た思いです。
馬単でウラを押さえて当たりはしましたが
的中のうれしさより、今後のウオッカの動向が気になるばかり。
いまのところ、安田記念にしても、宝塚記念にしても
鞍上に武豊はいない見込みなのですから。